2014-06-03 閲覧数(4181)
2014年は米国経済にとって明るい年になるでしょう。これまで米国を悩ませてきた問題の多くが解決しつつあり、成長を阻害する要因がなくなってきているからです。
米国はリーマンショック後、FRB(連邦準備制度理事会)が積極的な量的緩和策を実施してきたことや、個人消費が堅調だっ たこともあり、順調な回復ぶりを示してきました。しかし、失業率が思いのほか改善しないことや、経常収支の赤字が続いていること、財政再建のメドが立たな いことなどが不安視され、完全な復活とまでは言い切れない状態が続いていました。
しかし2013年の後半あたりからこの状況が大きく変化しています。12月に発表された最新の雇用統計では、新規雇用者数の増加が好景気の目安である20万人を2カ月連続で超え、失業率も7.3%から7.0%に急低下しました。
また製造業とサービス業の景況感指数も夏以降、良好な数値を示しています。11月に政府機関閉鎖があったことを考えると、 これはかなり前向きにとらえてよい状況といえるでしょう。FRBはこれを受けて12月18日、量的緩和の縮小を決定し、とうとうリーマンショック後の非常 事態からの脱却を宣言しました。
こうした動きの背景にあるのは、米国で進むシェールガス革命です。米国ではここ数年、安価なシェールガスの開発が進み、近 い将来、消費するエネルギーのほとんどを自給できる見込みが立ってきました。世界最大のエネルギー消費国である米国においてエネルギー自給が可能になるイ ンパクトは非常に大きなものがあります。
すでに安価で安定したエネルギー源を求めて、GEやダウケミカルなど多くの製造業が米国に工場を戻しており、米国の製造業 は劇的な復活を遂げようとしています。また、余剰の天然ガスを輸出する動きが進んでおり、これによって米国の経常赤字が減り始めています。エネルギーの輸 出が本格化した時には、米国の経常赤字はかなり改善しているでしょう。
こうしたことがプラスに作用し、米国政府の税収は着実に増加しています。12月18日には財政問題に関する与野党合意が成立し、今後は政府機関閉鎖という事態を回避することができそうな状況となりました。また争点となっていた財政再建のメドもほぼ立ったと言えそうです。
リスク要因はむしろ米国の外にあります。中国をはじめとする新興国の低迷が深刻になれば、当然、米国経済にもマイナスの影響を与えます。可能性は低いですがイランの核問題が後退するような事態となれば、同様に景気を冷やす原因となり得ます。
こうしたマイナス要因がなければ、今後は、金利、株価、為替(ドル)のトリプル高になる可能性が高いと考えられます。ただ こうした状況について、市場はすでにある程度織り込んでいますから、もしかすると株価は割高な水準になっているかもしれません。経済のファンダメンタル (基礎的条件)は良好ですが、市場の動向について過度に楽観視することは控えた方がよいでしょう。
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