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2014-05-13      閲覧数(4983)

広がる中小企業支援 ビジネスコンテスト開催、メガバンクも

4月の消費税増税で景気の悪化が懸念されるなか、国内雇用の約7割を占める中小企業の経営への影響を危惧する声も出始めた。政府や自治体の支援策に加え、金融機関による中小企業支援の動きも注目される。

日本の企業数の99.7%を占める中小企業は全国で約420万社あり、雇用全体の約7割を支える重要な役割を果たしてい る。しかし、約3分の2の中小企業は赤字で、「アベノミクス」による円安で輸出が増大して過去最高益を謳歌する大企業とは異なり、内需中心の厳しい経営を 続ける。

政府は裾野の広い中小企業の経営資源が、日本の製造業復活を支え、地域経済再生のカギを握るとし、「日本再興戦略」におけ る「日本産業再興プラン」の主要課題に「中小企業の革新」を掲げた。政府の成長戦略と歩調を合わせた自治体や公共団体、金融機関が中小企業を対象としたビ ジネスコンテストを行うなど支援の輪を広げ始めた。

中でもメガバンクの三菱東京UFJ銀行は、今後成長が見込まれる中小企業から事業提案を募集し、中長期的な経営支援を目指 した「Rise Up Festa」を開催中だ。これは先端医療やエネルギーなど、同行が力を入れる成長分野への支援強化策の一環で、最優秀企業には、同 行が最大500万円を負担するコンサルティングサービスもしくは、最大100万円の事業資金が提供されるというものだ。単なる融資先開拓の営業とは異なる 視点が注目を集めている。

大企業取引が主体だった三菱東京UFJ銀行が中小企業支援に注力し出した背景には、従来型の資金調達から経営サポートに企 業側の要望が移行していることに加え、取引関係のない次代の産業の中核を担う多くの経営者との接点を増やして企業の成長を後押しする狙いがあるとみられ る。

中小企業経営に詳しい法政大学大学院政策創造研究科の坂本光司教授は「さまざまなことに挑戦し、新しい価値や新しい市場を つくる会社を育てることは国家的な大命題」と指摘する。坂本教授はまた、「(グローバル化の進展で)海外進出する大企業より、国内に根を下ろして地域経済 に貢献する中小企業の支援が重要。大企業にかわり国内の税収や雇用を拡大する役割を果たしてもらいたい」と述べ、「中小企業が元気にならない限り日本の再 生はない」と強調している。

アベノミクスの成否を握る「第三の矢」は成長戦略だが、中小企業の躍進がその中核となるのはまちがいなさそうだ。